半藤一利さんが語る三国志

半藤一利(作家)HANDOU KAZUTOSHI

2019.07.10 up

  • 半藤一利(作家)
  • 好きな国:呉
  • 推しの登場人物:馬超
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    半藤一利に聞いてみた三国志Q&A

    Q.「歴史探偵」を自称されている半藤さんは、2009年に、画家の安野光雅さんとの対談集『三国志談義』(平凡社)を出されました。その中でも語っていますが、三国志の国(魏・蜀・呉)の中で、どの国が「推し」でしょうか?

    A.呉を支持したいですね。三国志の勢力比は、分かりやすくいうと、曹操の魏を5とすると、孫権の呉は4、劉備の蜀は1といったところでしょうか。だけど、劉備を取り囲む人たちは任俠的で、魂で結合している。だから蜀の団結は固く、人気があると思います。
    一方の呉は、魏と蜀がやり合う中で、守りに回ることが多く、孫権は52年間トップに居続けました。地味だけど、国策は不戦・非戦でした。そこが好きです。

    Q.最も好きな武将としては、誰でしょうか?

    A.『三国志談義』の中で私は、有名7武将の中で、曹操に最高点をつけました。『三国志演義』で曹操は徹底的に悪者になってしまいましたが、正史では勇猛な武人にして詩人で、文武両道、智勇兼備のマルチ人間として絶賛されています。欠点といえば、猜疑心がやや強く、権謀術数の人でありすぎるところでしょう。
    「演義」でいえば、最も愛する武将は、馬超。颯爽として不屈で、しかも出しゃばらず奥ゆかしい。日本の戦国時代で例えれば、上杉謙信。義によって勝敗に関係なく起つ。最も武将らしい人物です。

    Q.「三国志」を好きになったきっかけは。どんなところを魅力的に感じていますか?

    A.吉川英治の「三国志」から入りました。あと、中学時代の教科書に土井晩翠の詩「星落秋風五丈原」がありました。その詩に「丞相病篤かりき」とあったので、ちょっと体調が悪いと、「半藤病篤かりき」なんて言って、教練を休んだりしていました。「三国志」は少年時代から、ちょっとずつ自然に身についていったんです。
    「三国志」の時代には、「男の中の男」といえる人物が山ほどいる。いまの代にあの時代のような、裏も表もない、任俠のリーダーはいなくなりました。実に、あの時代に生きてみたくなるの感がしきりです。

    今年89歳になられた半藤さん。少年時代のエピソードなど、貴重なコメント、どうもありがとうございました!